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「何という事だ・・・」
兵士の一人が殺された皇帝の傍らへ駆け寄る。
「Talos よ、我等をお守り下さい・・・」
その兵士は肩を落とし、振り向いて亜矢へ話しかける。
「我々の責任だ。いや、私の責任だ・・・」
彼は目に見えて意気消沈し、力なく語りだした。
「我らBladesは皇帝をお守りすると誓った。だが、皇帝も皇太子も殺されてしまった」
彼はBaurusだと名乗った。Bladesは皇帝直属の秘密騎士団だという。
「Amulet、Amulet of Kingsはどこだ?陛下は持っておられぬ」
「あの人は・・・あの人はそれを私に託しました」
亜矢は涙ながらに答えた。
「・・・不思議だ。陛下はお前の中に何かを見ていた。お前を信頼していた」
Baurusはまじまじと亜矢を見つめる。
「Dragon Bloodというやつかもしれない。Septimの一族にはその血が流れている。常人には見えないものが見通せるのだ」
「そんな・・・」
「陛下は何か考えがあってお前に託したのだ。何か仰っていたか?」
「これをJauffreという人に渡せと・・・最後の息子のことを知っていると」
「なんだと?初耳だ・・・しかし、Jauffreなら知っているかもしれない。彼は我々のグランドマスターなんだ」
BaurusはJauffreについて語った。今はWeynonという修道院の僧侶をしているという。
「君が行って渡して欲しい。行ってくれるか?」
亜矢はしばらく考えてから頷いた。
皇族の血のDragon Bloodと言うものが不思議な力を持っているのなら、もしかしたら、元の世界に戻してくれるかもしれない。
・・・
「ハッ!!」
剣を突き入れると、ゴブリン鬼は炎とともに宙へ舞った。
「やるじゃねぇか。オレの使い方、大分慣れてきたな」
剣は嬉しそうに亜矢に話かける。
「ちっとも慣れないよ、もう!」
剣を持つ手に伝わってくる、肉が裂け、骨が折れる感触は気分の良いものではなかった。たとえ、それが襲い掛かってくる怪物のものだとしてもだ。
「早くこの下水を抜けて、皇帝の息子さんに会って元の世界に戻るんだから」
目の前で死んでいった人たちを悲しむのはそれからにしよう、と亜矢は思った。
「お、明かりが見えるな。ようやく外か?」
あの行き止まりの部屋は下水道に通じていた。下水を抜ければ外に出られるという。
「やっと外に出られるの?」
亜矢は訝しげに尋ねる。
「そうらしいな。長かったなぁ」
「なんか、一年近くかかった気がするよ」
・・・更新遅くてスミマセヌ・・・orz
下水から出た亜矢は、外の光の眩しさに目を細める。
しばらくして目が明るさに慣れてくると、改めてこの世界・・・「Cyrodiil」の美しさに見とれてしまった。
「・・・きれいなとこだよね、ここ」
「ん?ああ、そうらしいな。まぁ、オレには良く分からないけどね」
「そう言うと思った」
亜矢は少し笑って、そして、これからのことを考えて、表情を曇らせるのだった。
- 2009/04/26(日) 18:03:20|
- TES Sumner's Tales
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「何てこった!門が向こう側から閉じられている。罠か!」
皇帝を守る兵士の一人が焦りに苛立った声を上げる。
「そっちの通路はどうだ?」
「行くしかないか」
どうやらこの秘密の通路は、既に秘密ではなかったらしい。暗殺者達は追われた皇帝がここへ逃げ込むことを知っていて、待ち伏せし、罠を張っていたのだ。
「行き止まりです。いかが致しますか、陛下?」
兵士は万策尽きたように、皇帝に指示を仰ぐ。
しかし老皇帝は、自身の命の終焉がきたことを悟り、平静そのものだった。
その時、ガチャガチャと幾つもの鎧の音が背後から聞こえてきた。
「奴等が追ってきた!ここでお待ちください、陛下」
兵士達は刀を振りかざしながら、亜矢の側を駆け抜けていった。そして一人が亜矢をかえりみて叫ぶ。
「陛下とここに居るんだ。命に代えてもお守りしろ!」
亜矢は震えながら、コクコクと首を振る。
袋小路に追い込まれ、ここで全員死ぬのかと声が枯れて出なかった。
部屋の外から雄叫びと金属が激しくぶつかり合う音が聞こえてきた。
大粒の汗が少女のほほを伝って落ちる。亜矢は震える体を押さえようと剣を持つ手に力を込めた。
「少女よ」
皇帝がおもむろに口を開く。
「私はここまでだろう」
皇帝の声は場違いな程に冷静だった。
「そなたはたった1人で破壊の王に立ち向かわなければならない」
そう言うと首飾りを外し、亜矢へ差し出した。
「奴にAmulet of Kings を渡してはならない!このAmuletを受け取れ。Jauffreに渡すのだ」
赤く光る大きな宝石が収められた首飾りを亜矢は手渡された。
Amulet of Kings・・・王の護符。王家に代々伝わる帝位のしるし。だが、今の亜矢にはこの首飾りが意味するものを、そして、自分に託された運命の重さを知ることもなく、ただ震える手でそれを受け取ることしかできなかった。
「彼は私の最後の息子のことを知る唯一の人物だ。彼を探せ。そしてOblivionの顎を閉じてくれ」
亜矢は護符を固く握りしめた。
その時だ。
壁が動いて男が飛び出してきた。
黒い鎧と赤いフードの暗殺者は剣を振り下ろす。白刃が一閃し、皇帝の体を無残に貫く。
老皇帝はその場で崩れ落ちるように倒れ、絶命した。
「皇帝と一緒に居たのが運の尽きだ」
暗殺者は恐ろしい声で叫ぶと、亜矢に襲いかかってきた。
短剣が鋭く突き入れられる。
何度もかすりそうになり、亜矢は必至に剣を振り回した。
その出鱈目な振りが暗殺者の意表をついたらしい。
ガッと剣が鎧の脆弱なところを割り、暗殺者の体を貫いた。大きな音を立て、その男は後ろへよろめき倒れた。
亜矢は肩で息をし、茫然と皇帝と暗殺者の死体を見つめるのだった。
- 2009/04/19(日) 10:52:10|
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