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「暗殺者が息子達を襲撃した。次は私の番だ」
皇帝と名乗った男は沈痛な面持ちで語る。
亜矢は混乱していた。
「あの・・・何が起きているのですか?・・・私はなぜここにいるの?」
皇帝は沈黙し、絞りだすように答える。
「恐らく神が我々を出会わせる為にお前をここに導いたのだろう」
皇帝はじっと亜矢の目を見つめ、その奥にある何かを見つけようとしていた。
「陛下、こちらです」
皇帝に付き従う兵士が壁の一部に触れる。すると石牢の壁が大きな音を立て動き出した。
土埃とともに姿を現したのは隠し通路だった。
兵士達は皇帝を守りながら中へと入っていく。
ひとりの兵士が亜矢を一瞥し、
「運がよかったな。我々の邪魔だけはするなよ」
と言い、石壁に開いた大穴をくぐった。
亜矢はためらったが、しかし、暗殺者が後を追っているという。
ここにいるよりは、と意を決して通路へ出た。
通路は迷宮のようだった。暗く、湿気に淀んだそこは、石のアーチが連なっていた。
「怪しい動きはするな。私が貴様を見張っているぞ」
後からついてきた亜矢を見て、先ほどの兵士が睨む。
亜矢はビクリと細い肩を震わせた。
その時、突然目の前にいくつもの人影が現れた。
「皇帝を守れ!」
兵士達は人影に向かって剣を抜き放つ。
剣戟が始まった。
これが皇帝の言っていた暗殺者なのだろう。赤いフードを被り黒い鎧を身にまとった彼らは、声もたてず皇帝へと突き進む。
それを兵士達が阻み、剣が鋭い音をたて火花を散らしてぶつかり合う。
亜矢は思わず両手で顔を覆い、後ずさりしようとするが足元が震え、数歩もあるけなかった。
数分後、戦いは兵士達の勝利に終わった。しかし、数体の暗殺者の死体に混じって、女の兵士の死体が横たわっていた。
「残念ながら彼女は死にました」
兵士のひとりが皇帝へ告げる。
「しかし私達は行かなくては」
剣で体を裂かれ血の海に横たわる無残な死体の前で、亜矢は声を失なった。
「囚人、ここにいろ。我らの後についてくるな」
「え?」
振り返ると皇帝と兵士達は奥の部屋に消えようとしていた。
「ま・・・待って!」
慌てて扉へ駆け寄るが、中から鍵をかけられたようだ。
「そんな・・・」
呆然としたその時、大きな音を立て、後ろの石壁が崩れた。
そして中から飛び出してきたのは、巨大なネズミだった。
~続く~
<<第1話 第3話>>
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- 2008/08/22(金) 23:03:49|
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